日々の生活を助ける自助具
自助具の製作に活用
予期せぬ病気や事故、加齢などによって身体機能が低下し、これまでできていた日常生活動作(ADL)が困難になることがあります。さまざまな自助具が販売されていますが、障害者の身体機能は1人ひとり異なります。「市販の自助具は使いにくい」という人もいるでしょう。それを踏まえ、個々のニーズに対応した自助具の開発が進められていますが、その際に活用されているのが3Dプリンターです。均一な造形が可能な3Dプリンターは汎用性が高いため、これまで一点物で作られた自助具も簡単に再現できるようになるでしょう。さらに、3Dプリンターを使うことで手作業では難しかった複雑な機構を実現し、適合性を高めるだけでなく、ユーザーに「使いたい」と思わせるようなデザイン性の高い製品を作ることもできます。
一例を紹介
私たちは普段、両手を使って作業することがほとんどです。例えば、お皿を洗う、爪を切る、ペットボトルのふたを開けるといった何気ない動作も無意識のうちに両手で行っています。しかし、加齢によって握力が弱くなった高齢者や片手が不自由な人からすると、このような普段何気なく両手で行っている動作はハードルが高く、容易ではありません。そのような問題を解決するために、ある作業療法士が「握力が弱い高齢者や片手が不自由な人でも1人で簡単にできるように」という思いから、3Dプリンターを活用した自助具の開発に取り組んでいます。リハビリの専門職である作業療法士の知識を活かして開発された製品は、現在、大きな注目を集めています。
開発した製品の1つが、片手でもできる皿洗いの自助具です。U字型のキットの両端に細長いスポンジを2個設置し、シンクに取り付けて使います。スポンジの位置が固定されているため、片手でも楽に皿洗いができます。他にも、片手で納豆をかき混ぜたり、シャツの裾やカフスを留めたりなど、片手で生活をサポートする道具「ワンハンドグッズ」を開発しています。
自助具といえば以前は専門のカタログから商品を探して購入するのが一般的でした。しかし、3Dプリンターならデータを細かく調整できるため、もっと自分に合う製品が作れます。そのため、使い勝手のよい製品を求めて、3Dプリンターで製作した自助具を購入する人が増えています。
使う人に合わせて形状を調整できる「くぅぽの」
3Dプリンターを活用して製作した「くぅぽの」は、食事や筆記の補助を目的とした自助具です。熱を加えることで形を変形する特殊な3Dプリンター用フィラメントを使用しています。ドライヤーや45℃以上の温水で温めると柔らかくなるため、好みの形や角度に変形できます。 詳細は以下の公式サイトから確認してください。