美味しく食べるための工夫
見た目も大事
食べる人の状態に合わせてさまざまな形で提供できる介護食ですが、普通食とは見た目が大きく異なるため、「美味しくなさそう」「食欲が湧かない」と感じる人も少なくありません。食事は目で見て楽しむものでもあります。美味しく食べられるように、見た目にも工夫を凝らしてみましょう。
見た目を変えるメリット
介護食は噛む力や飲み込む力に合わせて食材を切ったり混ぜたりしますが、食べやすさを考慮すると見た目が悪くなり、食欲が減退する可能性があります。形を整え、見た目をよくすることで食事に対する満足度が向上し、食事量も増えます。「食事が唯一の楽しみ」という人も満足感を得られるでしょう。前向きな気持ちで過ごせるようになり、QOL(生活の質)の向上にもつながります。
また、必要な栄養も摂取できるため、栄養状態も改善できます。高齢者の場合、食事量が減少すると低栄養を引き起こす可能性が高まるので注意が必要ですが、そのリスクも回避できます。
美味しく食べるヒント
食材を細かくきざんで食べやすくするきざみ食や、ミキサーにかけてスープ状にするミキサー食をそのまま盛り付けても美味しそうには見えません。例えば煮魚の場合、きざんだり、ミキサーにかけたりしたものをそのまま提供しても煮魚とは認識できないでしょう。しかし、魚の形に整えてから提供すると見栄えがよくなり、何を食べるのかが視覚でも認識できるので食欲も湧きます。
また、季節感のある食事を提供するのもおすすめです。お正月にはおせち料理、節分には恵方巻き、ひな祭りにはちらし寿司など、季節の行事を楽しむ食事を提供しましょう。華やかな盛り付けにするだけで美味しそうに見え、四季も感じられるので、大変喜ばれます。
料理を美味しそうに見せるためには食器の選択も大切です。お粥には黒い食器、彩りのよいおかずには白い食器を使うなど、食器と料理のバランスを考えて美味しそうに見えるよう工夫しましょう。また、黄色は食欲を増進させるといわれているので、小鉢に黄色い食器を揃えるのもいいかもしれません。ほうれん草のおひたしを黄色い器に盛り付けると色の効果もあり、とても美味しそうに見えます。ただし、素材によっては握力がないと持ちにくいので避けるようにしましょう。特に、ガラスは重いので注意が必要です。手で持ちやすい重さの食器を選ぶか、一口で食べられる量にしましょう。
テーブルコーディネートを意識するのも1つの方法です。テーブルクロスを敷いたり、花を飾ったりするなど、食空間も演出してみましょう。いつもと違う雰囲気を演出することで、普段よりも食事が進むようになります。